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埼玉県学校薬剤師会 学薬だより
 
「学薬だより」より (9月号)
「学薬だより」白石美智子会長 / 「講義2 未成年者の飲酒と健康」北條久美子
 
「学薬だより」
学校薬剤師会会長 白石美智子

 早めの台風とともに本格的な夏がやってきました。連日の猛暑の中、白雲抱幽石の世界に身を置けたらと思います。

  さて、各学薬支部長や学校薬剤師講習会でもお知らせしましたが、「学校環境衛生の基準」の一部改訂」について平成19年7月10日付けで通知がありました。
 内容は「飲料水の管理」「雨水等利用施設における水の管理」「水泳プールの管理」において検査方法および判定基準にある「大腸菌又は大腸菌群」を「大腸菌」とし大腸菌群の培地である「乳糖ブイヨンーブリリアントグリーン乳糖胆汁ブイヨン培地法又は特定酵素基質培地法」を削除したことです。故にプールの水質で「大腸菌は検出されてはならない」となりました。本来糞便性の大腸菌が問題になるわけで、大腸菌と限定したことにより、試験目的が明確になりました。大腸菌の試験法は費用や日数も大きな変わりはなく、すぐに対応できることから、埼玉県教育委員会の通知では20年4月から実施が望ましいとしてあります。判定基準及び日常点検でも、「その他、プールの安全に関しては「プールの安全標準指針」を参照し適切な管理運営を行うこと」が加わりました。

  「プールの安全標準指針」
とは平成19年3月文科省と国交省が提示したもので、プールの排(環)水口をはじめとしたプール事故を防止するため、プール設置管理者に対して国の技術的助言として適当な管理運営を求めているものです。チェックシートを用いた点検や学校教育活動における管理組織体制の一例が例示されています。
 今後痛ましい事故が起きないよう、学校側としての細かな点検が望まれています。
 
  次に文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課より学校における室内空気汚染対策について事務連絡がありました。
 内容はホルムアルデヒドの測定方法として学校薬剤師の指導助言の下、新たにスクリーニング法として使用して差し支えないと判断した測定器が2機種追加指定されました。合計12機種指定です。
・CNET−A(株)住化分析センター
・MDS−100(株)ガステック
 8月5日、宮崎において日本学校薬剤師会主催の健康・学校環境衛生講習会が開催され、全国から200余名の学校薬剤師が集まり研修しました。今年は飲酒と未成年者の教育にテーマをしぼった3題の講義とダニをテーマの2題の研究課題報告です。

講義1「学校における飲酒防止教育」
 前文部科学省健康教育調査官 鬼頭 英明先生。
 喫煙とは違い、飲酒は大人たちの意識も甘いが、未成年者はお酒を飲んではいけないというスタンスを崩してはいけない。これは学校だけではできないことである。
日本は自動販売機が多く、簡単に買うことができるが、自動販売機に近づかないという指導をしてほしい。

講義2は下記掲載

講義3「酒類企業と社会的責任」
 サントリー株式会社 高梨 健先生。
 酒類企業として様々なアルコール関連問題に取り組み、啓発活動を行って6年目になる。未成年者、妊婦、運転者への飲酒防止としてポスターやビデオ、広告、商品への警告表示など企業として活発に行っている。
 
  研究課題発表は日本学校保健会冊子「学校保健」9月号に掲載します。各学校でご覧ください。
 8月7日、埼玉県教育委員会と学校保健会主催の埼玉県健康教育推進研修会が開催され、埼玉県学校薬剤師会会長として環境衛生部会の指導助言者を務めました。

講義2 未成年者の飲酒と健康」
報告者 北條久美子

  久里浜アルコール症センター副院長 樋口進先生の講演は、未成年の喫煙・飲酒はこの8年で共に減少しているというデータから始まりました。その理由としては、自販機の数が減ったことや、未成年に対する購買制限が功を奏しているのではないかということでしたが、やはり正しい知識を伝えることが大事であると、多くのデータを示して説明がありました。大人は許されて、なぜ子供は飲酒がいけないのかという子供からの疑問に、自信を持って説明できる内容で、大変、勉強になりました。以下に概略を紹介します。

1.始めに
 我が国では未成年者の飲酒は法で禁止されているが、中学生の約半数、高校生の約70%は何らかの形で飲酒しているという報告があります。日本では、冠婚葬祭に飲酒はつきものであり、タバコに比べてアルコールに対しては大人の認識も甘いのが現状ですが、なぜ未成年の飲酒は禁止されているかに焦点をあてて「正しい知識」について説明します。
2.アルコールとその分解
 
アルコールは主に小腸で吸収されて脳の神経系に作用し、肝臓でアセトアルデヒドに代謝されます。アルデヒド脱水素酵素の遺伝的変異の違いで、この酵素が不活性型で顔が赤くなる「赤型」と、活性型で赤くならない「白型」とがあります。白型はお酒に強いとされますが、依存症になるのは白型の人です。
3.未成年の飲酒がよくない理由
 未成年者ではアルコールの分解速度が成人よりも遅いので、1)急性アルコール中毒の危険性が高い、2)臓器障害が進む、3)依存が進む、といった問題が起こります。
 アルコールによる脳細胞障害作用は成人より未成年の方が大きいことがわかっています。脳の発達課程で、思春期では大脳皮質より大脳辺縁系の活動が活発、すなわち判断力や抑制力よりも感情・欲望が強い状態であり、動物実験の結果からも、未成年では脳が未発達のため飲酒によって、成人よりも行動抑制が無くなりやすいことが示唆されており、飲酒運転がその例です。性犯罪、危険な性行為のリスクも高くなり、望まない妊娠や性感染症の率も高くなります。
 疫学調査から、飲酒開始年齢が低いほどアルコール依存症になりやすいことも示されています。
4.飲酒予防教育について
 飲酒行動には様々な要因が関与しており、単発の教育は知識を与えることは可能であるが、行動修正には繋がりません。家族・友人の影響が強く、社会環境も重要で酒類を用意に入手できる環境は飲酒を助長します。多面的・継続的な教育が必要です。
5.胎児生アルコール症候群(FAS
 妊婦が飲酒すると胎児にアルコールが移行し、顔面奇形・出生前後の発達不良・中枢神経発達障害を特徴とするFASの頻度が高くなります。これは予防が可能であり、妊娠の全期間禁酒すべきです。

 
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